旦那へ
随分前だったと思いますが、嫁さんとドライブ中にふらっと
寂れた様子の洋食屋に立ち寄ったときの話。
ウエイトレス役の50代くらいのおばちゃんと、常連さんとのやり取り。
どうやら、旦那の愚痴を言っているようだ。
最初は「旦那が家のことを何もせず文句ばっかり言う」と主張。
よくありがちな話だな~と思いながら食べていると、全容が徐々に明らかになってくる。
旦那さんは、
- 何らかの病気で入院していた。
- 元料理人。
- 歳のせいか、病気のせいか、薬のせいか、味覚がズレてきている様子。
そして、病院の食事に文句を言い、「自分だったらこんな味付けにはしない」と看護婦に文句を言う始末。
と、ここまで聞いて、事情が変わってきた。
確かに「旦那が家のことを何もせず文句ばっかり言う」というのは確かなんですが、これは悲しいすれ違い。どんな病気なのかも気になる。
極めつけに、たまに家で旦那さんが料理を作ることがあって、子供や孫が「ちっとも美味しくない」その料理を「おいしい」と言って食べてあげるらしいというのだ。
なにか、ワンピースのチョッパーの件のようで、気になった。
「家で」ということは、退院して元気でいるのだろうか?
入退院を繰り返しているのだろうか?
余命がわずかで、家族が気を使っているのだろうか?
いろいろな妄想が駆け巡る。
旦那さんには、料理人としてのプライドが残っているのであれば、病院が患者のことを考えた上で薄味にしているという、データに基づいた配慮であることに気付いて欲しいし、自分が正しいと思ってやってきた味付けが、お客さんにとって本当に良い味付けなのかを、常に自問する態度がプロではないのかということを忘れないでほしいと願う。
同時に自分はそれができているかということに対して、改めて自問するべきだと強く思った。